ミリタリーゆるふわ雑記欄

書きたいことを自由に書いてまとめる場所。 割と自由に銃や軍装について書いていきます。

    Lee Enf 4

    皆さんこんにちは


    今回はイギリスの象徴ともされる銃、リー・エンフィールドライフルを紹介したいと思います。

    イギリス=パンジャンドラムから始まる謎の思想

    なんて言われがちですがいいものを作るときは作るんです。

    概要

    1888年に制式採用されたリー・メトフォード小銃の改良型として開発されたもので、1895年から1958年までの60余年間にわたり度重なる改良を加えられ、外見・仕様・弾薬を変えながら、イギリス軍以外にも大英帝国およびイギリスの植民地及びコモンウェルスの諸国の軍隊や警察において広く用いられた。

    イギリス軍では1958年にL1A1に制式小銃の座を譲った後も1960年代初頭まで使用されており、今でも、インドの各州警察など一部のコモンウェルス諸国・元植民地の治安維持部隊等では現役である。

    現在でも人気は高く、イギリス人にとって紅茶、フィッシュ・アンド・チップスと並んでこよなく愛されている重要なものと言われている。

    総生産量は1億7百万丁を越えると推定されている。

    Wikipedia リー・エンフィールド


    イギリスと言えば…このリー・エンフィールドでしょう。え?L85?…あいつはもうドイツの子だよ。

    さて、そんなリー・エンフィールド小銃のベースとなった銃がリー・メトフォード小銃です。
    Lee_Metford_No.1
    優れたボルトアクションメカニズム、10発の脱着可能な箱型弾倉など当時のボルトアクション小銃としては画期的、かつ後のリー・エンフィールド小銃にも引き継がれる点の多いリー・メトフォード小銃ですが実はそんなに知名度は高くありません。

    なぜならイギリスの正式採用銃としては植民地戦争で猛威を振るったマルティニ・ヘンリー銃とリー・エンフィールド小銃と板挟みにされ比較的短命に終わったためです。…かわいそ

    さて、そんなメトフォードを改良し完成したエンフィールドですが、当然長期にわたる運用に差し当たって幾度もの改良やバリエーションの開発が行われています。そんな中でも特に著名なものを今回は紹介します。

    short magazine Lee-Enfield MkⅢ
    SMLE_MKIII

    各モデルの中でも一番の知名度を誇るといって過言ではないのが本モデルです。
    名称は頭文字をとってSMLEと表記されることもあります。

    第一次世界大戦において使用されそのボルト後退量の少なさと装弾数の多さを生かし1分間に20~30発の射撃の可能にしました。
    その結果たった10人程度のライフル分隊の射撃がドイツ軍に機関銃の射撃と誤認させた、という記録も残っています。

    ちなみに名称のshort は後に続くマガジンの長さをを指すものではなく、最初期に採用されたMagazine Lee-Enfield の銃身長(30.2インチ)を基準とし、それよりも短いという意味でのshortでした。

    Rifle No.4 MkⅠ
    Lee-Enfield_No_4_Mk_I

    第二次世界大戦において運用されました。
    名称がだいぶ変わってますが同じリーエンフィールドです。
    第1次世界大戦後に武器の名称について改定があり、SMLEはRifle No.1 MkⅢなどと呼ばれるようになります。
    この銃の特徴は何といっても大量生産に重きが置かれている点です。また肉厚のヘビーバレルを採用しているため、重量も増加しています。
    また、既存の銃剣とは違うスパイクタイプの銃剣が採用されました。これは兵士たちに「肉通し」「豚を突く棒」などとあだ名されました。
    SMLE_No4_Mk1 bayonet


    …ちなみにこの銃剣、当時首相のチャーチルが戦局の悪化に際し、

    「槍でもいいから持って戦わんかい!」


    と陸軍省に言ったところ何を思ったか本当に鉄パイプに本銃の銃剣を溶接した槍(ホーム・ガードパイク)がホーム・ガード(国防市民軍兵)に支給されてしまいました。
    homegard


    …さすがイギリスだぜ。

    Rifle No.5 MkⅠ ”ジャングルカービン”
    jungle carbine
    第二次世界大戦末期、空挺部隊の要求に基づきより軽量かつ短く設計された空挺向けモデルです。
    戦後の東南アジア方面での作戦に使用されたため、ジャングルカービンの通称で知られます。

    銃身を切り詰めたために反動が増加。その反動を少しでも和らげるためにラッパ型のフラッシュハイダーとストックにゴムパッドが装着されているのが特徴です。
    それでも問題の解決にはならず、1947年には生産が終了しました。

    デ・リーズルカービン
    de-lisle-
    特殊作戦用にSMLEをベースに設計されて消音ピストルカービンです。
    使用弾薬は45ACP弾でM1911拳銃のマガジンをそのまま使用します。

    サプレッサーと亜音速弾である45ACP弾は相性がよく、その銃声は約85デシベル(走行中の電車内くらい)までに軽減することが可能でした。

    85デシベルというとかなりうるさく感じてしまいますが現代のMP5SD系列の9×19mmでは60-70デシベル、サプレッサーを使わない45ACP弾は160デシベル程度であることを考えると当時としては十分な消音効果と言えるでしょう。

    また本銃はこんな場所にも利用されています。
    114514
    これは第二次世界大戦でイギリスが運用したマチルダ2歩兵戦車に取り付けられたスモーク・ディスチャージャ―です。SMLEの機関部がそのままついているのがわかると思います。
    こんな場所にも使われるリー・エンフィールド…すげーなお前…

    動画

     


    リー・エンフィールド小銃のトイガン
    国内メーカーでモデルアップをしているのはKTWだけです。
    お高いですが品質は間違いなく、実射性能も申し分ありません。


    それ以外になると海外製になります。価格は低めですが品質にはばらつきがあり海外製品は総じて調整を前提に購入することをお勧めします。



    形だけでいいという方にはDENIXの観賞用がお手軽価格で入手できます。
    よく見るとつくりの甘い点もありますが、観賞用として壁にかけておくなどの用途では充分なクオリティと言えます。




    いかがでしたでしょうか?英国面というと独創的な思想…みたいな風潮がありますが決してイギリス製兵器はすべて駄作、というわけではないのです。


    P38

     みなさんこんにちは。今回はルパン三世の影響で日本では圧倒的知名度を誇るワルサーP38を紹介したいと思います。

    実はこの子、後世の銃に多大な影響を及ぼしたかなりの優等生なんです。やっぱりドイツよね、ドイツの科学力は世界1なんだってはっきりわかんだね。


    概要

    強力な弾丸を安全に発射できるショートリコイル式の撃発システムに、大型軍用拳銃としては画期的なダブルアクション機構を組み合わせた自動式拳銃。

    1930年代まで、自動式拳銃の操作方式はシングルアクションが唯一であった。これは、撃鉄を起こしてあれば軽い力で引き金を引ける利点があったが、暴発のリスクもあり、常に手動安全装置をかけなければ携帯しにくかった。

    ダブルアクション機構は、撃鉄を起こさなくても引き金を引いていけば自動的に撃鉄が起き上がり、そのまま引き切ることで発砲できるため、シングルアクションに比べ引き金は重くなるが暴発のリスクが少なく、手動安全装置への依存性が減る。また、ダブルアクション機構なら弾薬が不発であっても、再度雷管を叩くことを試行できた。この機能は20世紀初頭には回転式拳銃ですでに広く普及していたが、構造が複雑化するため、同時期採用されていたコルト・ガバメントなど多くの大型軍用自動拳銃には採用されていない。ワルサー社は1929年に開発した中型自動式拳銃ワルサーPPで、自動式拳銃としては世界でも早い時期にダブルアクション機構を導入していた。

    P38のダブルアクション機構はPPの流れを汲むもので、シングルアクション併用型となっている。命中精度は軍用拳銃としては高く、従来のルガーP08に比しても故障率が減り、スライド上面に大きくえぐられた開口部は排莢の確実性に貢献した。

    ワルサー独特のショートリコイル機構は、スライドと銃身を直接噛み合わせて銃身の下降・開放で遅延ブローバックを実現したブローニング方式と異なり、別体のロッキングピースを用いたことで銃身の上下動を不要とし、命中精度を高めている。また、銃身先端付近の保持が必要なくなったため、前方に銃身の伸びたデザインを可能としている。

    P38のショートリコイル構造は横フライス加工だけで銃身、スライド、フレームそれぞれの噛み合わせを形成する事が可能となっており、P08のような複雑な切削加工を必要としない。

    Wikipedia ワルサーP38


    簡単に言えば

    ドイツ軍「正式採用拳銃のルガーP08って構造上の問題点も多いし、生産も手間かかるし新規拳銃作ったほうがよくない?」

    というコンセプトで設計された拳銃です。

    この銃の特徴としてはダブルアクションが挙げられます。
    現在でこそダブルアクションではない拳銃を探すほうが難しいですが、当時ダブルアクション機構を搭載した拳銃というのは珍しいものでした。

    また、よく「ナチスの銃」として名の挙がる拳銃といえばルガーP08ですが実際第二次大戦時におけるドイツ軍の正式採用拳銃はこのワルサーP38でした。
    そのためアメリカ軍将兵にはルガーP08と並び、戦利品としてこのワルサーP38は人気でした。

    そんなワルサーP38ですが、戦後も西ドイツによって運用されます。

    ワルサーP1
    .P1

    1956年、ドイツ連邦軍(西ドイツ軍)は大量に接収されていたナチス・ドイツ時代の制式拳銃ワルサーP38を制式拳銃として採用した。当時の連邦軍内に多かった旧国防軍出身者からの支持もあった為、採用にあたっての入札などは行われなかった。1957年からは一部改良を加えたものが新規に調達され始める。1963年10月まで、連邦軍における制式名には旧国防軍時代の「P38」がそのまま使われ、刻印も「P.38」のままだった。制式名の変更後は「P.1」に刻印が改められ、さらに軍用生産型を「P1」、民生用生産型を「P38」と呼び分けるようになる。
    2004年、生産が完全に終了する。ウルムの工場から最後に出荷されたP38/P1の製造番号は473201で、この銃はカール・ワルサー社の産業博物館(Firmenmuseum)に保管されている。 
    Wikipedia ワルサーP1



    途中で名前がP1に変わっているのでわかりづらいですが細かな改良を行っただけで実質的には同じワルサーP38がそのまま西ドイツ軍(ドイツ連邦軍)において使用され続けました。
    この銃の後継にはH&K USP(P8)が採用されます。


    そんなワルサーP38ですが、今現在においても現役で使用している国があります。
    ポルトガルです。
    P38 N
    P38 n2
    マルチカム、カイデックスのホルスターにP38。なんだかものすごく異様な光景です。
    とはいえ60年代から運用してきたこのP38もさすがに旧式化が問題となっていたようで、この度新規採用拳銃としてGlock17 Gen5(第5世代モデル)のコヨーテカラーの採用が決定したそうです。
    glock17-gen5


    こう考えてみると現代でも通用するスペックを持った拳銃であった、ともいえるのではないでしょうか?…もっとも、M1911なんて言う例外がいますから何とも言えませんが…

    実銃動画



    ワルサーP38のトイガン
    ワルサーP38は様々なメーカーからトイガンが発売されていますが、エアガンで選ぶのなら間違いなく丸善のガスブローバックガンでしょう。ワルサー社との業務提携により再現されたその外見は言うまでもなく実物に忠実です。


    また、もっと気軽に楽しみたいのであれば東京マルイのエアーコッキングガンがおすすめです。設計も古く、内部構造の都合上若干スライドが後ろに大きいですが実写性能は間違いありません。それでいて安価です。

    また、韓国のTOYSTER社からもHGタイプのエアーコッキングガンが発売されています。マルイよりリアルさを求めるのならこちらも選択肢としてはありです。



    いかがでしたでしょうか?古い銃の紹介ばかりが続きますが、銃の歴史を紐解けば現代の銃が今の形に進化した理由もわかります。そういった点から古い銃を学ぶというのも悪くないように私は思います。


    Mauser_C96

    皆さんこんにちは。前回



    ということでルガーP08についてをまとめましたが
    今回はそのルガーとともにドイツを支えたモーゼルC96ピストルとそのバリエーションについて見ていきたいと思います。

    設計
    使用する.30モーゼル弾(7.63x25)は、ルガーP08の原型となったボーチャードピストルでボーチャードが開発したボトルネックリムレスカートリッジとよく似ているが形状が異なり互換性の無いオリジナルのものである。この弾は、初速が高く、口径の割に高威力である反面、銃身が過熱しやすいという特徴がある。

    マガジンへの装弾方法は当時のボルトアクションライフルに似ており、マガジンが空か最終弾を撃ち尽くしコッキングピース(一般的な自動拳銃のスライドに相当)が後退したホールド・オープン状態から弾丸が10発まとめられたクリップを排莢口に差込み、指でマガジンに押し込む。マガジンにはダブル・カラム方式で収納される。その後クリップを抜き取ると、ボルトが前進してチャンバーに第一弾が送り込まれるようになっている。コッキングピースを後退位置でホールドするための独立したパーツはないため、最終弾を撃ち出すまで弾丸の途中補給は困難である。片方の手でスライドを後退させて、スライドを手とハンマー上端で仮固定させておけば、クリップ無しでも1発ずつの装弾は可能である。

    セーフティレバーはハーフコックおよびフルコックでかけられる。前期型はセーフティを上に押し上げるとOFF、後期型は下に押し下げるとOFFなのでこれで前期型と後期型の区別がつく。また、ボルトとファイアリングピンの長さは同じなので静かにハンマーを戻せば暴発しない。M1930でセーフティレバーに改良が加えられ、ロック状態ではトリガーを引いて、ハンマーを落としても、ファイアリングピンを打たないようになっている。このため、M1896(前期型)とM1930(後期型)の二つのカテゴリーに大別する事が多い。構造は全て金属パーツとスプリングの噛み合せでできており、ネジはグリップで使用している一本だけである。付属のクリーニングロッド一本で、分解清掃可能となっている。

    距離を調整できるタンジェントサイトを装備しているモデルが多いが、これはストックを取り付けたときを前提としたサイトになっているのでストックを付けずに撃つ場合は標的が20m先の場合、20-30cmぐらい下を狙う必要がある。
    Wikipedia モーゼルC96

    バリエーションが多いのでよく混同されがちですが標準のモーゼルC96ピストルはセミオート、クリップ給弾式、7.63mm弾を使用します。まだ自動拳銃黎明期であり、この銃もルガーP08と同様にボーチャードピストルの影響を受けました。このC96が影響を受けたのは弾薬です。
    ボーチャードピストルの使用弾薬である7.65mmの7.65ボーチャード弾を参考に設計されたのがこの銃の使用弾薬である7.63×25mmモーゼル弾です。ちなみにですが同様にボーチャード弾を参考に設計された弾薬として7.62×25mmトカレフ弾があります。これらには共通性があり、使おうと思えばトカレフ弾をC96で発射することも可能でした。(弾頭素材の違いからトカレフ弾は激しく銃身を摩耗させてしまいますが)

    開発
    C96はモーゼル(マウザー)社の創業者であるモーゼル兄弟の手がけた製品ではなかった。弟パウル・モーゼルは大型拳銃を好まず、社内での設計を禁止することさえ考えていたという。そんな中で同社の試験場監督だったフィデル・フェーデルレ(Fidel Feederle)は兄弟のフリードリヒ(Friedrich)、ヨゼフ(Josef)と共に秘密裏に大型拳銃の設計を行った。当初、モーゼルはこの新型拳銃に難色を示していたものの、最終的には帝国軍が制式拳銃として採用することを期待して「モーゼル」の名を冠することを認めた。

    フェーデルレ兄弟は1893年から非公式に設計を開始し、1894年夏頃には最初のパイロットモデルが完成した。以後はモーゼル社の公式プロジェクトとして設計が進められ、1895年3月15日には試射の準備が整った。同年12月11日にドイツで、また1897年までにヨーロッパ各国やアメリカ合衆国などで特許を取得した。

    1896年末からC96すなわち「96年設計型」(Construction 96)として生産が開始された。その最大の特徴となっているトリガーの前にマガジンハウジングを持つスタイルは、当時グリップがマガジンハウジングを兼ねる方式が特許取得済みだったためとも言われている。このデザインは重心が前にある為に射撃競技銃のように正確な射撃が可能であり、ストックを併用すると代用カービンとして使用できた。
    Wikipedia モーゼルC96

    ここで一つ疑問点になると思うのですがモーゼル(マウザー)ってなに?ってなる方がいると思います。これについては
     

    日本の銃砲関係者における「Mauser」の読み方について
    「Mauser」の日本の銃砲関係者での表記・読み方「モーゼル」「マウゼル」は、明治陸軍造兵界での訳出を踏襲しているものと推測される。この「er」の読み方については、/r/を常に[r]で発音し語末や音節末でも母音化しない舞台ドイツ語発音に基づいている。

    航空界および戦後防衛産業界では、実際に話されている発音に近い「マウザー」、あるいはかつての正式社名であるマウザー・ヴェルケ(ヴェルケ (Werke) は「製造所」の意味)が使われる事が多い。戦中の例としてはMG151航空機関砲が「マウザー砲」や「マ式」と呼ばれている。

    「Mauser」を「モーゼル」と表記する事は、モーゼル川 (Mosel) 、およびその流域で作られるワインと混同される可能性がある。
    Wikipedia モーゼル

    …ただの日本語の読み方の違いであり、同じ会社を指す言葉です。
    好きなほうで呼べばいいと思います、それで何があるってわけでもないですし。

    …さて、話を戻しましょう。、
    C96は1896年から1937年までの41年間にかけて製造され、100万丁以上が製造されました。正式採用した国は中国くらいでしたが、多弾数、固定弾倉の信頼性の高さなどが評価され、またそのシルエットと価格の高さから一種のステータスとして世界各国で販売されました。英国首相ウィンストン・チャーチルも青年将校時代にこの銃を購入、所持していたことが知られています。
    そんなC96は41年という長期的生産、商業的人気を博したことから多数のバリエーション、コピー生産が行われました。そんな中でも特に知名度の高いモデルを紹介しましょう。

    モーゼル・ミリタリー 9mm
    _Red_9
    ドイツ軍用に使用弾薬を9×19mmパラベラム弾に変更したもので、その使用弾薬の識別のためにグリップに入れられた赤い「9」の文字から「レッド9」と呼ばれた。『バイオハザード4』で登場したことで有名。

    モーゼル・シュネルフォイヤー(Mauser Schnellfeuer/M712/M1932)
    M712
    簡単に言えば、「スペインにコピーされたモデルにフルオートがつけられててそれが人気になっちゃったよやべぇよやべぇよ…俺らもはよフルオートモデルつくらな(焦り)」です。
    このひとつ前のモデルとしてM713が存在しますがそちらはフルオート射撃の反動で勝手にセレクターが切り替わってしまうポンコツだったのでその欠点を改良したものがこちら。
    特徴としては脱着式の弾倉(10/20連箱型弾倉)フルオート射撃が可能であることが挙げられる。
    そのため左側面のセレクター、右側面のマガジンキャッチで標準のC96と見比べることができる。
    ドイツ軍にも一定数が運用され、カービン銃や短機関銃の代用として重宝された。

    山西17式
    17siki
    中国で当時製造していたトンプソン・サブマシンガンと使用弾薬を共通化させるためにC96に45ACP弾を使用できるよう改良を施したモデル。トリガーガード下までせり出した弾倉が特徴的。フルオート射撃はできない。
    『メタルギアソリッド3』で登場し、国内での知名度が上がった。劇中ではフルオートに改造された本銃が横向きに薙ぎ払うように射撃する、馬賊撃ちを行っている。

    アストラM900(画像がはM903)
    アストラ
    1920年代当時に人気だったC96を臆することなくスペインのアストラ社がコピーしたモデル
    形状も酷似し、使用弾薬も同じだが内部構造は若干異なる。
    M900の改良型であるM901では本家モーゼル社に先駆けフルオート射撃機能が搭載されたが10発の固定弾倉に毎分900発という超高レートでフルオート射撃の実用性は低かった。だが結果的にはモーゼル社にフルオートモデル(M713)の開発を急がせることとなる。
    M902では20発弾倉に、M903では10/20発の箱型弾倉に改良され、また銃身も延長された。

    また、ホルスターを兼ねたストックをグリップ後端に取り付けることでカービン銃としても運用できますが、航空部隊向けなどに初めから固定ストック、ハンドガードを装備したカービンモデルなども存在します。
    stock c96
    car c96

    以下実銃画像
    WW1 C96
    WW1 ドイツ軍の写真。ストックを装備している。
    WW2 C96 SS 1
    WW2 ドイツ軍SS兵士によって使用されるM712。20連の弾倉が確認できる。
    WW2 C96 SS 2
    同じくSS兵士。セレクターが確認できることからこれもM712であることがわかる。

    C96のトイガン
    入手が容易な点を考えるとモデルガンはマルシン、エアーガンはマルシンかWEのガスブローバックがおすすめです。残念ながら製品化されているのはM712がほとんどです。
    もちろんストックを取り付けることも可能で、WE社からはカービンモデルが発売しています。











    P08
    その独特の作動機構と見た目から 
    厨二病の好む銃としてよく名前の挙がってしまうルガーP08。ですがその実態は初期の自動拳銃として成功をおさめたドイツの正式採用拳銃です。
    今回はそんなルガーP08について、紹介したいと思います。

    概要

    ヒューゴ・ボーチャードが開発した大型拳銃ボーチャードピストルを原型にゲオルグ・ルガーが改良・開発したもので、自動拳銃黎明期の成功作の一つであり、支点で二つに曲がって伸縮する“トグルアクション”式機構が大きな特徴である。その独特な機構の動きから、尺取虫の愛称で呼ばれた。

    口径は9mm、装弾数はシングルカラム・マガジンによる8+1発である。

    使用弾薬は9mm×19パラベラム弾であり、20世紀から21世紀にかけて自動拳銃用の弾丸として広く使われているこの拳銃用弾薬は、元来はこの銃のために開発された。「パラベラム」とは、ラテン語の「Si vis pacem, para bellum(「平和を欲するなら戦争に備えよ」という箴言)」から採られており、「戦争に備える」の意味である。 
    ルガーP08 Wikipedia

    というようにボーチャードピストル(C93)に採用されたトグルアクション機構を改良・小型化したものがルガーP08です。このトグルアクションという作動機構は斬新な機構ではありましたが部品点数が増える・高度な工作技術を要求される・機構の強度が脆弱になるなどの問題もあり、以降の銃には採用されませんでした。(第二次大戦後スイスで試作された拳銃が存在するようですが詳細は不明です)
    C93
    ボーチャードピストル(C93)。ルガーと同様のトグルアクションであることがわかる

    .357
    スイス製トグルアクション拳銃。戦後試作されたらしいということと、357マグナム談を使用するということ以外は詳細不明です。横向きに機構が配置されているのが面白い。


    歴史

    ヒューゴ・ボーチャード(フーゴ・ボルヒャルト)が1880年代末期に設計した特異な構造のトグルアクション式大型自動拳銃「ボーチャードピストル」は、ボーチャードの設計を買い取ったドイツ武器弾薬製造社(DWM)が製造していた。
    この銃の米海軍への売り込みに失敗したDWM社の技師ゲオルグ・ルガーは、ボーチャードピストル失敗の原因が、拳銃としては極度に過大な大きさ、外付けのストックを装備しないと扱いにくいバランスの悪さにあると考えて、撃発機構をベースにしながら両手保持可能な実用的サイズに小型化する改良、試作を行い、1900年に、P08の前身となるモデル1900を開発する。トグル・アクションのアイデアを除けば、モデル1900以降のDWM製軍用自動拳銃開発にボーチャードはほとんど関わっていない。
    ルガーP08の原型は1893年に完成し、1900年に7.65mmパラベラム弾を使用するパラベラムP1900が発表された。これは同年スイス軍に制式採用されたほか、民間用としてブルガリアでも発売された。1902年には9mmパラベラム弾を使用するモデルP1902が開発され、翌年アメリカ陸軍がトライアルを行ったが落選した。
    部品数が多く生産コストの高い銃であったが1904年には改良型がドイツ海軍に、そして1908年にはドイツ陸軍に制式採用され、第一次世界大戦から第二次世界大戦を通じて1943年まで生産され続けた。1938年に後継モデルのワルサーP38が制式採用されるまでの約30年間、ドイツ軍の制式採用銃であった。また、ナチスが台頭してからは主力制式拳銃の座を退くものの、自費で本銃を購入して使いつづけるものも多く、第2次世界大戦中も、ワルサーP38の供給不足をまかなう形で、引き続き生産、使用された。そのため、「ナチスの拳銃」というイメージで知られている。その過程における最大の改良は、グリップ内背面に収められるリコイル・スプリングを当初長い板バネとしていたため発射時の瞬間的衝撃で折れて破損しやすかったところ、1906年にコイルバネに変更したことで、耐久性が大幅に高まったことであった。 
    ルガーの開発した9mmパラベラムはルガーP08の他にワルサーP38などで採用され、その後軍用拳銃の傑作銃ブローニングHPの使用弾として50ヶ国以上の軍隊で採用された。これら自動拳銃用のリムレス弾丸は、結果として銃本体以上の成功を収めるに至った。
    ルガーP08 Wikipedia


    このように9mmパラベラム(ルガー)弾はこの銃のために開発され、以降欧州を中心として自動拳銃の標準弾薬となります。またアメリカ軍のトライアルに落選したルガーですが後に45口径モデルも試作され、後のM1911とも正式採用の座を争うことになります。つまりもしかしたらアメリカ軍の正式拳銃がルガーになっていた可能性も…いや無いか、どう転んでもM1911にしかならなそうだわ。

    なおドイツ空軍においては空軍総司令官ヘルマン・ゲーリング元帥は、当時のP08の製造元であるクリークホフ社の株主だったため、空軍の制式拳銃としてP08を採用し続け、P08は1943年まで生産が続行されました

    さて、そんなルガーP08ですが口径、バレル長や照準器の形状などでいくつかのモデルが存在します。その中でも最も有名なのは陸軍採用のアーティラリーモデルでしょう。
    Arty P08
    8インチのロングバレルに跳ね上げ式のタンジェントサイト、脱着式のストックを有しているのが特徴で、文字通りアーティラリー(砲兵)の護身用として調達されました。1次大戦においては塹壕内など近距離戦闘におけるカービン銃の代用として用いられました。
    また、MP18サブマシンガンに用いられている32連スネイルマガジンですが、元はこの子のです

    実銃画像

    P08 10
    P08 11
    P-08 12
    p08 1944
    (このように戦場での”お土産”として持ち帰る連合軍兵士も少なくありませんでした。)

    実銃動画



    ルガーP08のトイガン
    そんなルガーP08のトイガンですが…現状一番手に入りやすいのはタナカのガスブローバックガンでしょう。ドイツ帝国製造モデル、第二次大戦製造モデルなどいくつかのバリエーションが展開されています。もちろんストックとスネイルマガジンも使えます。





    海外メーカであるWE社からも発売していますが、メタルスライドを標準搭載しており日本国内においては法律に抵触してしまう場合もあるので使用はタナカルガーでも使用できるマガジンのみにしておくことをお勧めします。



    m733

    前回は

    ということでメインのM16シリーズについて紹介させていただきましたが今回はそのカービン(短縮モデル)についてまとめてみました。
    M16のカービンモデル(CAR15)については早期にはベトナム戦争から完成形であるM4カービンに至るまで数多くのモデルが試作・運用されてきました。
    そんなCAR15の代表的なモデル、そしてそれらのトイガンを紹介!M4とは一味違ったスタイルで周囲と差をつけてみるのはいかかでしょうか?

    そもそもなぜカービンモデルを作るに至ったのか?

    CAR-15 カービン

    アーマライトよりAR-15の製造権を買い取ったコルト社は、1965年ごろより従来のAR-15 ライフル(モデル601/602、のちにアメリカ空軍がM16として採用)を中核としてバリエーション展開し、通常の歩兵用小銃に狙撃銃や分隊支援火器、カービンなどを加えて、CAR-15武器システムを構築することを計画した。これは、アーマライト社による体系をコルト社流に再構築するとともに、各種の小火器を同一の設計に基づいて統一することで、教育・訓練や補給を効率化する試みであった。このCAR-15武器システムの一環として、車両や航空機の搭乗員向けの自衛用火器、そして、特殊部隊向けの特殊用途火器として開発されたのが、CAR-15 カービンである。 
    コルト・コマンドー Wikipedia

    つまり、本来のフルサイズライフルでは長すぎる場面で用いられる特殊火器であったということ。世界大戦時のボルトアクションライフルなどでも騎兵などのために短縮モデルが作られた。
    …と考えてみると今現在アメリカ全軍に配備されているM4カービンは今でこそライフルの標準値のように扱われるが起源をたどると短縮モデルといういわば特殊モデルを全軍に配備していることがわかる。…あれ?それじゃ最初から全軍にカービン配備すりゃいいじゃん、なんで?
    と当然思うだろうがあくまでM4カービンは完成形。

    主要モデルの紹介とともにその理由を見てみる。

    GX5857(M607)/XM177
    M607 M609 M610


    上からそれぞれM607、XM177E1、XM177E2
    M16をそのまま短くしたようなM607は過去に東京マルイから「CAR15」の名前で発売されていた。CAR15はM16のカービンモデル全てを指す言葉だがCAR15と言えばこれ、という方も多いのではないだろうか
    CAR-15 コマンドー(XM177/GAU-5)

    CAR-15シリーズの開発当時、ベトナム戦争において、将校や車両・航空機乗員の自衛用火器、長距離偵察を行う特殊部隊向けの火力として、小型軽量のカービン銃の需要が非常に高く、これに適した火器の開発は急務であった。このことから、モデル607(GX5857)の試験運用で判明した問題点を改善したサブマシンガンとして開発されたのがモデル609(ボルト・フォワード・アシスト有)およびモデル610(ボルト・フォワード・アシスト無)で、モデル610はただちにXM177(陸軍)およびGAU-5/A(空軍)として仮採用された。また、1966年6月28日、陸軍は2,815丁のモデル609をXM177E1 サブマシンガンとして購入し、これらの引き渡しは1967年3月までに完了した。なおこのシリーズには刻印がないモデルがある。これは自らがどの国の兵士か判らなくするためである。

    上記モデルは順次実戦投入され、そこで10インチの銃身では曳光弾が十分に発火できず、夜間戦闘などで弾道が確認できないなどと言った問題が指摘された。改修モデルとして、やや銃身を伸ばして11.5インチとしたモデル629(ボルト・フォワード・アシスト有)およびモデル649(ボルト・フォワード・アシスト無)が開発された。これらは、銃身を延長したことによって前モデルより銃声とマズルフラッシュが軽減されたほか、XM148 グレネードランチャーやライフルグレネードの使用が可能となっている。1967年4月、陸軍は510丁のモデル629を南ベトナム軍事援助司令部特殊部隊(MACV-SOG)向けに購入してXM177E2として仮制式採用し、1967年9月までに引き渡しは完了した。また、空軍もこれに小改正を加えたものをGAU-5A/Aとして採用した。ただし、CAR-15 コマンドーは通常のM16よりも短い銃身と伸縮式銃床の採用に伴い、必然的に射程と精度は低下し、銃声やマズルフラッシュが大きいなどといった問題があった。この問題は、1970年に生産が終了するまで常に指摘され続けた。XM177シリーズは米陸軍全体で広く使用されたが制式採用はされなかった。
    コルト・コマンドー Wikipedia


    ベトナム戦争終結後、コルト社はCAR-15武器システムというコンセプトを放棄したが、カービン・モデルの開発は継続された。これらのカービンは、アメリカ軍の特殊部隊や法執行機関、海外の顧客で広く使用されたが、1994年にM4 カービンが採用されるまで、米軍に制式採用されなかった。 
    コルト・コマンドー Wikipedia

    つまり短銃身化は命中率低下やマズルフラッシュの露呈などの問題を引き起こした。そりゃ全軍配備とか無理だわ。
    sv car15


    ちなみに航空機パイロット向けの限界ギリギリ短縮ライフル、サバイバルカービンなんてものも試作された。いやこれちょっと無理があるでしょ…
    ベトナム戦争後のCAR15
    ベトナム戦争以降(XM177以降)におけるCAR15にはM16A1ベースのM65×シリーズ、M16A2ベースのモデル7xx/モデル9xxシリーズ、そしてM4シリーズがある。
    それこそかなりの数が存在するので著名なモデルのみ紹介しよう。
    M653
    M653

    XM177をM4と同じ14.5インチバレルにしたモデル。映画「プラトーン」ではXM177の代役を務めた。

    M727
    M727

    アラブ首長国連邦(UAE)からの発注によって作られたM16A2カービンモデル
    通称「アブダビ・カービン」

    特徴としてはM4カービンの14.5インチヘビーバレルが装着されている点。逆に言えばフレーム以外はもうほぼM4カービンと言ってもいい。
    映画「ブラックホーク・ダウン」においてデルタフォースが使用していたのが印象的。

    M733
    M733 car

    上記のM727とともに「ブラックホーク・ダウン」に登場していたM16A2のカービンモデル。11.5インチバレルを装備しているため非常に短いのが特徴。こじんてきにすき(小学生並みの感想)

    M4
    M4A1

    M16カービンの完成形。いやもう説明いらないでしょ

    これでも登場当初から見るとハンドガードがレールシステム(RIS)装備になったり、ストック形状が変更されたりしている。M4は3点バースト、特殊部隊向けに設計されたM4A1はフルオート。
    いや特殊部隊向けって…今はM4A1が全軍配備されており、既存のM4もA1と同様にフルオート射撃が行えるよう改修が行われている。
    みんなの大好きなカスタムベースなのでもはやモデル差については説明が不可能。

    CAR15シリーズのトイガン
    そんなCAR15シリーズ、M4を除いてもそれなりのメーカーから発売されている。正直M4との違いが判らないといわれてしまえばそこまでだがでもやはり他人とは一味違う、オールドスクールスタイルというのも悪くないように思う。

    電動ガン




    ガスブローバックガン



    エアーコッキング








    このページのトップヘ